2009年8月21日金曜日

綿花を通して考える

あなたのTシャツはどこからきたのか?
原題:The Travels of a T-Shirt in the Global Economy



筆者ピエトラ・リボリがTシャツから経済や政策などを考察する経済書。もう数年前に出版されたので別に新しいものでもないが、この本の面白さは身近に存在するTシャツから綿農家や綿織物工場の経営、アメリカの農業保護政策とそれに反対する発展途上国の問題、過去の奴隷貿易などが解説されているところだ。
単なるモノ(コモディティ)として扱われている綿花を考えることによって、世界がどのように繋がっていて自分の生活にどう影響していくのかを考えることができる。

農業保護政策を行い綿農家を保護しているアメリカと公正な取引を要求して綿花イニシアチブを掲げるチャド、マリ、ブルキナファソ、ベナン(アフリカ西部、中部)。そこにはブラジルや中国なども絡んでくる。中国は大量の綿を生産しているにもかかわらず、最大の輸入国でもある。これらの国がどのような立場で対立をしているのかを調べるだけでもモノの流れを考察することができる。
残念ながら僕がこれから訪れようとしている国々は綿と関係が深いところは少ない。けれどもこの本のような考察をしながら旅行ができたら楽しいだろうなと思う。

ここからは僕なりの最近のニュースからの考察だが、近年バイオエタノールとして注目されるトウモロコシや砂糖きびの作付け面積が増加していることにより、アメリカでは綿花の栽培が減っている。にもかかわらず輸出は好調だ。バイオエタノールとして使われなかったとしても、綿花の需要は供給を上回ることができず、年々在庫を減らし続けている。今後もこの傾向が続き、アジアでTシャツやGパンの需要が増えれば綿花の不足を招くことになる。どこかの生産国で干ばつなんかが起きたりしないことを望んでいる。

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