ユダヤ人と聞いて思い起こされるのは、ユダヤ人迫害、ホロコースト、ナチスドイツというような言葉だろうか。ユダヤ人はナチスドイツによって、アウシュビッツ強制収容所に隔離され、そこで迫害を受けたという歴史を持つ。それから50年以上が経って、時代は大きく変化している。
現在、ユダヤ人はイスラエルという国を建国し、そこからパレスチナ人を追い払おうとしている。そして、イスラエルの地から追い出されたパレスチナ人は周辺で難民となり、レバノンやヨルダンに頼って国外やパレスチナ自治区に逃亡した。
地図で確認すればすぐわかることだが、パレスチナ自治区はガザ地区と西岸地区の2つに分かれている。その中でもガザ地区はフェンスで囲まれた狭い地域で、イスラエルはパレスチナ人をガザ地区に収容し、パレスチナ人の往来や物資の運搬を管理するようになった。
過去にナチスドイツがユダヤ人を迫害していたが、現在ではナチスが行ってきたことをユダヤ人がパレスチナ人に行っているという、フラクタル(自己相似)的な状況を作り出している。
人間に例えるならば、親から虐待を受けた子供が育って、自分が親になったらその子供に対しても虐待をしてしまうような状況だ。
ユダヤ人は迫害という歴史を持つために国際社会からは長い間、隠然と哀れみの目で見られていたが、ガザ地区への攻撃やレバノン侵攻などを経て時代が変わり、今ではすっかり悪者扱いされる国家となってしまった。そして、ここへ来て大きな変化の現れは、アメリカがイスラエルを見捨てそうだということだ。ブッシュ政権時代には、アメリカはアラブ周辺国を非難し、ガザ地区のハマスをテロ扱いして、イスラエルを擁護していた。核弾頭を400発持っているとされているイスラエルは批判せずに、ろくに核開発できる技術もなく、IAEAからも脅威ではないとされていたイランを適しし続けた。
アメリカはブッシュ政権からオバマ政権に政権が交代し、オバマ政権では核軍縮を掲げている。アメリカがロシアとも協力して核軍縮を始める場合、一番困ることになるのはイスラエルだろう。アメリカの目指すところは世界全体の核軍縮であり、核開発の疑いのあるすべての国家に対してIAEAへの加盟とその後の自国を含めての核軍縮を強調して行う形をとろうとしている。イランはたいした核技術も持ち合わせていないのでIAEAへ加盟をし、自国の疑いが晴らせればラッキーだろう。イスラエルの場合、IAEAへの加盟が課せられて核軍縮をしなければならないとなると、周辺諸国に対しての核の影響力を減らすことになる。イスラエルは石油が取れるわけでもなく、アメリカの後ろ盾と核抑止力により保持されている国なので、アラブ周辺国から圧力をかけられる可能性が高まる。
日本では、アメリカが始めて核使用に対する謝罪と核軍縮に言及したということで少し話題になったが、アメリカの核軍縮は日本に対してのわびの気持ちで計画されているものではなく、中東の戦略として計画されているものと考えられる。
イスラエルが今後どのような方向に行くのか、オバマ政権がどのような政策をとるのか注目する価値があると考えている。

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