今回の移動はケニアのナイロビからエチオピアの国境の町モヤレまでの約800kmだ。この移動の途中で特に見所がある場所はなく、途中にイシオロ、マルサビットという小さい町があるだけだ。南アフリカ・エジプト間の陸路縦断でこの道を避けることはできないが、ここではさまざまなうわさを聞く。
まずは山賊の出没だ。トラックドライバーの話によると山賊は身包みはがしてすべて持っていってしまうらしい。トラックを持っていってしまうやつは悪い山賊だが、トラックを見逃してくれるのはいい山賊だと言っていた。どっちも最悪だろって言いたいが、トラックが残っていればなんとか生き延びることはできるだろうから、まだマシかなとも思う。
モヤレ-ナイロビ間を南下してきた人たちに何人か会って話を聞いたところ、実際に山賊の被害に遭った人には会わなかった。しかし、ナイロビにたどり着いた人たちはみんな疲れ果てていて、ボロボロに汚れてしまった服をナイロビの宿で2度洗い、3度洗いしたりする人や、乗っていたトラックの揺れでパソコンが壊れてしまった人などいて、世界一周でこの移動が一番きついとの呼び声も高い。
この間の移動手段は大まかに3つある。値段はまちまちで大体の値段は書いたが言われる値段は人によって違ってくるだろう。
1. バス(2000Ksh) 2. ローリー(デカいトラック) 3. ランドクルーザー(四駆車)(2000Tsh)
さらに、ローリーについては運転手の横の助手席(2000Tsh)と、荷台の荷物の上(650Tsh)という2択がある。このローリーの荷台の上というのが一番きついとうわさされる移動手段だ。荷台の上の移動は一緒に乗る荷物に大きく左右されるらしく、動物が荷台にいる場合は特に最悪らしい。アフリカでは普通に鶏や羊をバスで運ぶ人がいたりするのでトラックの長距離で動物を運ぶって言うのはぜんぜんありうる話だ。しかし、その動物とたちと一緒に800kmもの距離を移動するってはちょっとなぁ。臭いもきついだろうし、バックパックに小便をかけられたなんて話も聞いた。
それならば、当然ローリーを選ばなければいい話なのだが、バスは不定期に出ているらしく、その日にバスが出るかどうかも分からないらしい。ランドクルーザーは運がよければ見つかるみたいなことを言われた。
不安ながらもナイロビを出発し、ランクルを見つける気まんまんでイシオロまでミニバスで行ってみたものの、ランドクルーザーはなかなか来ない。仕方なくローリーを見つけたが助手席はすでに満席。荷台もけっこう値段をふっかけられた。交渉したが荷物がデカいとか言われ、1,500Kshからなんとか800Kshにまで落とせたくらいだ。バスでもランクルでもなく、結局ローリー。しかも荷台の上って一番最悪の選択肢になってしまった。しかし、それでも荷台に動物がいなかったことが不幸中の幸い。
荷台の上に行くまでは2m以上あり、ローリーの横をよじ登っていかなくてはならない。バックパックを抱えて荷台に登っていくのが一苦労だ。しかし、上がってみれば荷物の上で寝転がっているケニア人たちが暖かく出迎えてくれた。アジアン顔が非常に珍しいようだ。しかもケニア人は流暢に英語をしゃべれる人が多いから助かる。
荷台の上は思ったよりも快適で荷物がかなり臭うし、寝る体勢はあまりよくないものの、体を伸ばして寝ることができた。逆に助手席は狭いスペースに6人も詰められてけっこう大変そうだ。バスでイシオロに到着したのはすでに夜中で、疲れていたのですぐに寝てしまった。
イシオロからマルサビットへの道は確かにボコボコではあるものの道のひどさはラオスの悪かった道とさほど変わらず、世界で最悪と言われるほどではなかった。マルサビットに着いたのは夜で、トラックを止めてみんなが休憩。休憩中に夕食を食べているとローリーの方で何かガタガタとやっているようだ。何かと思ったら、荷台に荷物をさらに積み出したのだ。屋根の高さギリギリまで荷物が詰まれ、今まで寝ていたスペースはなくなり、6,7人ほどの乗客が畳み2畳ほどの狭いスペースに押し込められることになった。けっこう快適なままモヤレ国境まで行けると思っていたのにとんだ誤算だった。マルサビットからは狭~いスペースにバックパックと一緒に押し込められながらも耐えていなければならなかった。それでも疲れるのできつい体制のまま寝たりしながらももう一日を荷台の上で過ごす。
翌日、ローリーが走り出さないのでどうしたのかと聞くと、先の道路で他のローリーがスタックしているらしく、これ以上進めないというのだ。おいおい、ここまで来てこれから先に進めないとはどういうことだよ!
どうやら数日前にエチオピア側のほうで降った雨の影響で、道に水が流れ込み、そこの道でスタックしたローリーが動けなくなったようなのだ。そのために他のローリーも道を通れずにいるようだ。
実際その場所まで行ってみると確かにローリーがスタックしている。道はひどくグチャグチャになっていて確かにスタックするよな~っていうところだ。ここまでひどい道はさすがに見たことがない。先頭でスタックしていた車は3日間スタックしているらしい。僕が乗っていたローリーはスタックしているローリーの10台以上後のところに止まっている。ここの道を10台以上のローリーが通り抜けられるのか、非常に不安だ。ローリーは早朝にスタックしている場所に着いたのにお昼の時間を過ぎても一向に動く気配がない。
そんな中で何台かのランクルがスタックしているローリーの脇を通り抜けていった。何度そのランクルに乗りたいと思ったことか。いいなぁ、ランクル。うらやましい。日差しの強い中何時間も待たされていたため水もどんどん減っていく。1.5Lでいっぱいだった水ももう1/4も残されてはいない状況だ。3日間スタックしていたローリーが今日脱出することができるだろうかと迷っていたが、3時過ぎにようやく先頭のローリーが脱出!この瞬間がどれだけうれしかったことか。
しかし、まだ喜ぶのは気が早い。自分のローリーが通るまでに10台以上の他のローリーがあり、応急処置の対応をした道がそう長く持つとは思えない。予想通り数台後のローリーで再度スタック。またみんなで必死に引っ張り挙げるといった状況だ。ようやくうちらのローリーがそこを脱出できたのは5時近くになっていた。しかし先頭のローリーが脱出に3日間かかっていたことを考えると、その日のうちに脱出できたのはラッキーだったのだろう。
その後はモヤレまで4時間弱。今日はケニア側に宿泊し、明日から一番恐れていた国エチオピアに突入することになる。

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